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基板実装の基礎:表面実装(SMT)とスルーホールの使い分けガイド

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 電子工作やプリント基板設計を進めていくと、必ず直面するのが「部品の実装方式をどう選ぶか」という問題です。 現在の電子機器では 表面実装(SMT) が主流ですが、依然として スルーホール(THT/DIP) が必要な場面も多く存在します。 この記事では、両者の特徴・メリット・デメリット・使い分けの基準を、電子工作の視点から分かりやすく解説します。

この記事を読むことでわかること

部品の実装方法を表面実装かスルーホールどちらにすればいいかわかる。

自己紹介

東証一部上場企業でサラリーマンしてます。

主に工場(生産現場)で使用する検査装置のアプリケーション開発してます。

ヒトの作業を自動化して簡略化するアプリケーションを日々開発中。

転職に成功して現在は超大手企業で、電気・制御の分野で装置の研究開発をしています。

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実装方式が重要な理由

 基板実装方式は、単なる「部品の取り付け方ではありません。 」実装方式によって、以下のような要素が大きく変わります。

  • 基板のサイズやレイアウトの自由度
  • 製造コスト
  • 耐久性や信頼性
  • 発熱や電気特性
  • 手はんだの難易度
  • 部品の入手性

 特に電子工作では、製品の量産とはことなり、自分で実装する場合、スルーホールの手作業での作業がほとんどだと思います。ただし、サイズや精度の要求が上がってくると必ず自動で実装できる表面実装が必要になります。ですから、方式の違いを理解しておくことは非常に重要です。

表面実装(SMT)とは

SMTの特徴

 SMT(Surface Mount Technology)は、部品を基板の表面に直接はんだ付けする方式です。 リード(電子部品の電気的な接続を行うための 金属端子 のことです。 部品の脚、ピンとも呼ばれます。)が短く、部品サイズが小さいため、基板の小型化が要求される現代の電子機器のほとんどがSMTで構成されています。

SMTのメリット

小型化・高密度化が可能

 同じ機能をもつものでも、後ほど紹介するTHTスルーホール方式に比べて部品が小さく、基板の両面に実装できるため、スマホやIoT機器のような高密度設計に向いています。

自動実装に適している

 部品実装は、リフロー炉を使った自動化が前提です。自動化できれば、量産に強く、品質が安定します。

電気特性が良い

 リードが短いため、寄生インダクタンスや寄生容量が小さく、高周波回路に向いています。

SMTのデメリット

手はんだが難しい

 0402(実測1.0×0.5mm)や0603(実測1.6×0.8mm)などの小型部品は、初心者には扱いが難しい場合があります。例えば、0402の部品を手はんだしようとすると、1×0.5mmの部品の端部についている足をはんだすることになります。この作業は慣れていても時間がかかる作業です。部品同士の距離が狭い場合は、さらに難易度が上がります。

機械的強度が弱い場合がある

 リードが短いため、強い力が加わると剥がれやすい部品もあります。

熱に弱い部品もある

 リフロー工程の熱に耐えられない部品は、別工程が必要になります。

SMTが向いている用途

  • 小型化が必要な電子工作
  • 高周波回路(RF、BLE、Wi-Fi)
  • マイコンやセンサーを使った基板
  • 量産を前提とした設計
  • JLCPCBなどのPCBAサービスを利用する場合

スルーホール(THT/DIP)とは

スルーホール実装の特徴

 スルーホール実装(Through-Hole Technology)は、部品のリードを基板の穴に通し、裏面ではんだ付けする方式です。 電子工作を始めるときはここからスタートするかと思います。DIP IC、抵抗、電解コンデンサ、コネクタなど、昔ながらの部品に多く採用されています。

スルーホールのメリット

手はんだが圧倒的に簡単

 リードが長く、部品が大きいため、初心者でも扱いやすい方式です。

機械的強度が高い

 リードが基板を貫通するため、コネクタやスイッチなど、力が加わる部品に最適です。

熱に強い部品が多い

 電源回路や大電流部品など、発熱の大きい用途に向いています。

スルーホールのデメリット

基板の小型化に不向き

 穴あけが必要なため、基板面積を多く消費します。

自動実装に向かない

 手作業が多く、量産には不向きです。

高周波特性が悪い

 リードが長いため、寄生成分が大きくなり、高速信号には不向きです。

スルーホールが向いている用途

  • 電源回路
  • 大電流部品
  • コネクタ、スイッチ、端子台
  • 手作業での電子工作
  • 試作段階での検証

SMTとスルーホールの使い分け基準

1. 小型化が必要かどうか

  • 小型化したい → SMT
  • サイズに余裕がある → どちらでも可

 特にIoTデバイスやウェアラブルのような、小型化が必須なジャンルではSMTが必須です。

2. 手はんだで実装するか

  • 初心者 → スルーホール
  • 慣れている or ホットエア使用 → SMTも可

 電子工作の練習ではスルーホールが扱いやすいです。

3. 機械的な強度が必要か

  • コネクタ、スイッチ、端子台 → スルーホール
  • 小型IC、抵抗、コンデンサ → SMT

 強度が必要な部品はスルーホールが圧倒的に有利です。

4. 高周波・高速信号かどうか

  • RF、BLE、Wi-Fi → SMT
  • 低周波アナログ → どちらでも可

 高速信号ではリードの長さが致命的になるため、SMTが必須です。

5. 量産か試作か

  • 量産 → SMT
  • 試作 → スルーホール or SMT混在

試作段階では、スルーホールのほうが修正しやすい場合があります。

SMT とスルーホールの使い分け早見表

電子工作では、部品の特性や用途によって最適な実装方式が異なります。 以下の表は、どんな状況でどちらの実装方式を選ぶべきかをまとめたものです。

条件・用途SMT(表面実装)の場合スルーホール(THT/DIP)の場合
小型化したい部品が小さく高密度実装が可能部品が大きく、小型化には不向き
高周波・高速信号リードが短く寄生成分が小さいリードが長く高速信号に不向き
量産したい自動実装(リフロー)に最適手作業が多く量産に不向き
手はんだで作りたい小型部品は難易度が高い大きく扱いやすく初心者向け
機械的強度が必要基本的に弱い(剥がれやすい)リードが貫通するため強度が高い
コネクタ・スイッチ類基本的に不向き力が加わる部品に最適
発熱部品を使う熱に弱い部品もある放熱性が高く安定
試作・検証修正しにくい修正しやすくブレッドボードとも相性良い
コストを抑えたい小型部品は安価だが実装設備が必要部品単価は高めだが手作業で完結
両面実装したい両面に部品を置ける基本的に片面がはんだ面になる

SMTとスルーホールのハイブリッド設計

実際の電子機器では、SMTとスルーホールを併用することが一般的です。

例:マイコン基板の場合

  • 抵抗・コンデンサ・IC → SMT
  • USBコネクタ・ピンヘッダ → スルーホール
  • 電源ジャック → スルーホール
  • LED → SMT or THT(用途次第)

このように、部品の特性に応じて最適な実装方式を選ぶことで、 基板の信頼性と作業性を両立できます。

電子工作での実装方式の選び方まとめ

  • 小型化・高密度 → SMT
  • 手はんだしやすさ → スルーホール
  • 強度が必要 → スルーホール
  • 高周波 → SMT
  • 量産 → SMT
  • 試作 → スルーホール+必要に応じてSMT

電子工作では、無理にSMTだけにこだわる必要はありません。 用途に応じて両者を使い分けることで、より扱いやすく、信頼性の高い基板を作ることができます。

まとめ

表面実装(SMT)とスルーホール(THT)は、それぞれに明確な特徴と用途があります。 現代の電子機器ではSMTが主流ですが、スルーホールが必要な場面も多く、両者を理解して使い分けることが重要です。

今回のまとめ
  • SMT:小型化・高周波・量産向け
  • スルーホール:強度・手はんだ・試作向け
  • ハイブリッド設計:SMTとスルーホールの使い分けが最も実用的

 電子工作の目的に応じて最適な実装方式を選ぶことで、基板の品質と作業効率が大きく向上します。電子工作初心者だからと言って、表面実装を使うのをためらってはいけません。現在の主流は表面実装であることから、部品の種類も圧倒的に表面実装のほうが多いです。表面実装用の部品が扱えないと、選択肢が狭まります。ぜひ表面実装にもチャレンジしてみてください。