今回は実際に生産技術で働く中で、身に付いたスキルについてお話していきます。生産技術職として働くとどんなスキルが身につくか参考になると思います。
ちなみに、そもそも生産技術職はどんな仕事内容なのか大まかにつかむ必要があります。今回ご紹介するのは、詳細なスキルになるためです。
以前ご紹介した生産技術の仕事内容について書いた記事がありますので、こちらを参考にしてください。
本題に入る前に注意点ですが、今回ご紹介するスキルの内容は、わたし個人の実体験であり、世界中のどの会社や業界でも同じとは限らないので気を付けてください。
生産技術で働くと得られるスキルがわかる
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それでは見ていきましょう。
- 習得したスキル
- ビジネスマナー
- 治工具の図面作成
- 量産化するまでに発生する問題解析
- 関係部署との連携
- プログラマブルリレーを使ったラダー制御
- C#によるWindowsFormsApplication作成
ビジネスマナー


“社内で製品開発”と聞くと、社内の人だけと仕事をして社外の方とは接点が無いような気がしますが、そんなことはありません。
例えば社内で加工が難しい場合には加工業者さんにお願いをしますし、スキル的には社内で完結させられるが、リソース不足のため協力会社さんに指示をして装置を作ってもらう。などなどです。
その際のやり取りはもちろん社外の方に向けたものになりますので、営業職のような完璧なビジネスマナーとまではいきませんが、必要最低限のビジネスマナーが自然と身に付きます。
治工具の図面作成


私は装置の内部のソフトを作る業務が主ですが、図面を書く人のリソース不足になると私も手伝うことがあります。
社内で加工することもあれば、社外の協力会社さんにお願いすることもあるため、お絵かき程度ではモノは作れません。
私は大学の専攻が機械科でしたので最低限の知識はあるものの、実際に必要な公差などの振り方は会社に入ってから実務で覚えました。
JIS規格に沿うものの、社内ルールのようなものもあるため、それに沿って図面を作成することになります。
量産化するまでに発生する問題解析


量産までに試験的に製品を作ってみて問題点をあらかじめ洗い出すのは、私の仕事内容の記事で紹介しましたが、その際必要なのが問題の切り分けと対策です。
例えば、ざっくりとした問題として、製品の出荷規格を満足しない製品が発生した場合。
まずは性能を評価する装置に残る測定データを確認します。
このデータを見ることにより、大まかな問題点については絞り込むことが可能です。
- 問題の切り分け
- 部品を修正する前後で性能が著しく変化していないか
- 調整工程で何か不具合が起きていないか
- 部品の組付けに問題が無いか
- そもそも検査装置が変化していないか
上記のような切り分けを行い、出荷規格を満足できない原因を調べます。
調べ方にもよりますが、私の場合は装置の担当をしていることが多いので、検査装置に変化がないか、検査装置に異変が起きていないかのチェックを行います。
同時に調整機の調整がうまくいっているかの確認も行います。
部品の変化や、組み付けの問題についても調べることはありますが、それは製品担当の人に任せることが多いです。
関係部署との連携


問題解析のところで、製品担当の人に解析を任せると書きましたが、製品開発は一人ではできません。
製品開発では、設計者が設計を行い、製品担当者が組み付け方法や組み付け用の治工具を作成し、検査装置のメカを設計する人がいて、私のような装置のソフトを作成する人がいる。
というように、たくさんの人が製品にかかわっているため、各担当者で連携をとる必要があります。
例えば設計担当者からの連絡が滞っていて、気が付いたら部品の形状が変更⇒組み付け用の治工具が使用できなくなる。
これは連絡を密にしておけば発生しない無駄な工数です。
たまに独りよがりな設計者が独断で設計変更することがありますが、周りからはあまり良い評価ではありません。当たり前ですよね。
それから、連携することにより専門知識の共有も可能になります。
製品が出荷できる性能になっていないとき、解析をすると部品の精度に問題があるかもしれない。となった場合
設計担当者に相談をして公差を厳しくしてもらう、ゆがんで寸法が変化しているなら強化してもらう。などです。
設計における強度計算や、他の部品との絡みもあるのでこちら側からこうすればいいんじゃないかと安易に提案するのもいいですが、そこは設計担当者に任せたほうが良いです。設計のプロなわけですから。
そんな時大事になるのが、問題の説明方法と、お願いの仕方です。
ここが悪いから直してくれ。というのは簡単ですが、相手は機械ではなく人間です。
細かい説明や、相手にしっかり伝わったかの確認や、修正の日程など。
業務を行っていくうえで必要ですが誰も教えてくれない重要なお仕事です。
プログラマブルリレーを使ったラダー制御


ここからは専門的な話になります。
詳しい運用例などは別記事にする予定ですので概要だけご説明します。
ラダーというプログラミング言語?(言語に分類されるかは謎)を使用した制御のお話です。
皆さんはリレーという電気部品をご存じでしょうか?
単純に説明すると、電気を流すとその電気によって電磁石がONになり、スイッチが入るイメージです。
これを疑似的に制御されるのがプログラマブルリレーで、実際の制御を支持するのがラダーとなります。
生産現場では人の代わりに同じ動作を繰り返すときに有用で、スイッチを押すだけで作業者のレベルに依らない作業が可能です。
また、プログラマブルリレーに保存されたラダーは、一度パソコンから保存してしまえばスタンドアローンで動作しますので、小規模の生産現場ではパソコンを使用しないで制御ができるというメリットがあります。
この制御に必要なラダーですが、仕組みは単純で、単純動作であれば1日で習得することが可能です。
ただし、複雑な動作の場合は、動作軸同士の同期や思い通りの動作順序などを実現するのは難しいです。
慣れが必要ですので様々な装置を触っていく中で覚えていくイメージです。
C#によるWindowsFormsApplication


こちらは、パソコンを常に装置に備え付けた状態での制御となります。
パソコンを用いての制御ですので、複雑な制御も比較的簡単に行うことができます。
ただし、プログラミング言語自体に抵抗がある方がほとんどだと思いますので、この業務を行って人員は私の勤めている会社でも少ないです。
逆に言うと、誰にでもできる業務ではないので職場では重宝されます。
もちろん制御専門の人だらけで、動かすモノを作る人がいなければ成り立ちませんが…
また、実は、便利ソフトの開発も業務の一部となっており制御しかしていないわけではありません。
例えば何百というエクセルファイルを一括で一つのCSVファイルへ変換したり、
装置に保存されたファイルをリアルタイムでサーバーへアップしたり。などなど
C#はいろいろな汎用性があるため実現可能なことが豊富です。
実現可能でいうと、Pythonのライブラリは魅力的なものが多いことは知っています。
実はひそかにPythonを勉強して業務に生かせないかと目論んでいます…
まとめ
今回は生産技術の業務で習得したスキルについてご紹介しました。
冒頭でもお断りした通り、私個人が生産技術の現場で習得したものになりますので、
同じ職場でもプログラムができない人はいます。
中規模くらいの会社で自分の仕事さえしっかりやれば、他は自由にさせてくれる可能性が高いので、自分から技術の習得をするのに反対する職場は少ないでしょう。
逆に言うと、自分から新しい技術を取り入れていかなければ時代から取り残されます。
ぜひ常に時代の流れにアンテナを立てて新技術を業務に取り入れてください。
※2022年1月追記
実はこの記事を書いていた2020年から新たなスキルとして
python,mysql,java,C(マイコン周り)なんかも習得しました。
ちょっと職場によっても新規の技術が受け入れられにくいところもあると思いますが、
わたしは新しい技術をどんどん入れていきたい派なので
【あ。これ使えるな】という技術については勉強して、
そのまま装置として組み込むこともしばしば….
そのせいで仕事の量がとんでもないことになるんですが笑
新規技術の習得も計画的にしましょう…
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