Youtubeでも活動中チャンネルはこちら!

【光を検知する】「CdSセル(光センサー)」の使い方を徹底解説

cds-cell-light-sensor-how-to-use-eyecatch

[Sponsored]少量ロットでも基板は作れる!

JLCPCB-banner4

 光を検知するセンサーといえば、フォトダイオードやフォトトランジスタなどがありますが、今回はCdSセル(光抵抗)を使って、光の強さを電気信号として扱う方法を紹介します。

 光によって抵抗値が変化する素子の総称として、フォトレジスタと呼びますが、今回解説するCdSセルも、フォトレジスタの一種です。

CdS-cell
CdS-cell

 光の強さを数値化する素子としては、以前「フォトダイオード」をご紹介しました。その時の記事はこちら。

 一方、今回ご紹介するCdSセルはフォトダイオードよりも安価で扱いやすいです。マイコンなしでも動作確認が可能なため、電子工作初心者にもおすすめです。ただし、扱いが簡単で安価でもあるのですが、取り扱い時に中止しなければいけない点もあります。

 この記事では、CdSセルとは何か?から始まり、安全上の注意、使用方法、実際の回路構成、測定方法までを詳しく解説します。

この記事を読むことでわかること

光を検知するCdSセルの使い方が理解できる。

自己紹介

東証一部上場企業でサラリーマンしてます。

主に工場(生産現場)で使用する検査装置のアプリケーション開発してます。

ヒトの作業を自動化して簡略化するアプリケーションを日々開発中。

転職に成功して現在は超大手企業で、電気・制御の分野で装置の研究開発をしています。

_/_/_/_/_/Youtubeでも情報発信中!_/_/_/_/_/

本ブログはアフィリエイトを用いた広告を掲載している場合があります。

CdSセルとは?

CdSセルが何なのかについて少し解説します。CdSセルが何なのかわからずにも使えますが、この知識を知っておくことでより理解が深まります。

CdSセルの構造と原理

 冒頭でも解説しましたが、CdSセルは、光を受けて抵抗値が変化する「フォトレジスタの一種」です。以前解説したフォトダイオードも光を受けて抵抗値が変化しますから、これもフォトレジスタです。 レジスタというと抵抗という意味です。フォトは光の意味ですか、直訳すると光抵抗とも呼べますね。

 CdSセル(Cadmium Sulfide Cell)は、硫化カドミウム(CdS)を使った光抵抗素子です。光が当たると内部の抵抗値が変化し、明るさに応じて電気的な変化を得ることができます。光に反応する素子ということですね。先ほども光抵抗と直訳しましたが、抵抗とジャンル分けされる理由はここにあります。

  • 暗いとき → 高抵抗(数百kΩ〜MΩ)
  • 明るいとき → 低抵抗(数kΩ〜数百Ω)

 この特性を利用して、光の強さをアナログ電圧に変換することができます。アナログ電圧とは、0か1のようなON/OFFではなく、0Vから例えば5Vの間の無段階の電圧のことを言います。例えば2.1Vになったり4.6Vになったりと、値が変化することで、この電圧の高い・低いを信号として使います。

安全性と注意点※必ず守ってください。

 CdSはカドミウムという物質を含んでいます。カドミウムは環境規制(RoHS)と言って、国際的に使用の制限対象となっています。この環境規制をクリアしたものだけが市場に製品としてリリースすることができます。ただし、一般的なホビー用途であって、製品として販売するようなことがないのであれば、問題なく使用できます。

 ここが一番大事なのですが、もしCdSセルが破損した場合は素手で触れず、適切に廃棄してください。

 念のため厚生労働省の硫化カドミウム(CdSに入っている物質)の取り扱いに関するガイドラインも紹介しておきます。

職場のあんぜんサイト:化学物質:硫化カドミウム

実験:CDSセルで光を検知する

 それでは性質がわかったところで、さっそく実物を使って実験してみましょう。
今回は抵抗値を測定する実験と、分圧回路を作って電圧を測定する実験の2つをご紹介します。

抵抗値を測定する。テスターで抵抗値を測定

 まずはCdSセルの抵抗値をテスターで測定します。光の強さに応じて抵抗値が変わるところを、テスターで測定します。必要なものも最小限で済みますので、簡単にテストできます。

使用部品

  • CdSセル
  • テスター
  • 光源(ライトなどスマホのライトでも十分。)

 必要なのは、素子とテスターくらいです。光源はスマホのライトでもいいので、これが最小構成だと思います。

テスターを使って抵抗値の変化を観察する。

 それでは実際に、テスターとCdSセルをつないで抵抗値の変化を見てみましょう。

 まずはテスターとCdSセルをつなげます。

次にテスターを操作して、抵抗値を測定するモードにします。

 このモードは、テスターによって表示が若干異なります。ただ、どのテスターも抵抗値の測定は基本機能として持っています。※抵抗値が図れないテスターを見たことがない…

抵抗値を測定するモードは、このようなアイコンがあれば抵抗値が測定できます。ご自身のテスターで似たようなアイコンがないか確認してみてください。

 暗くした状態の抵抗値はこれくらい。2.4kΩと出ました。

 明るくすると、抵抗値が変わりましたね。0.5kΩです。

 このCdSセルの抵抗値は、これくらいだということがわかりました。

 明るさを変えることで、抵抗値が2.4kΩ→0.5kΩに変化しました。つかうCdSセルや、明るさなどによって抵抗値は大きく異なります。ご自身のCdSセルで抵抗値を実際に確認してみてください。

電圧値を測定してみよう。分圧回路を作って電圧値をテスターで測定する。

 CdSセル単体の抵抗値の変化を観察してみましたが、今度は電圧を測定してみましょう。抵抗値の変化も重要な現象ですが、実際にセンサーとして使用する場合は、電圧の変化のほうが重要です。

 電圧の変化のほうが重要な理由は、変化を測定するとき、抵抗値よりも電圧のほうが扱いやすいからです。抵抗値を測定するには、結局一度電圧に変換してから、値を出すのが一般的です。

 ですから、最初から電圧に変換しておいたほうが、なにかと手間が省けるということです。より実践的な話をすると、Arduinoをはじめとする、マイコンボードでは、電圧の高い・低いは数値として出せますが、抵抗値に関しては単体ではその機能はありません。素直に電圧にしておいたほうが無難ということですね。

 また、この電圧の変化を取り出すためには、以前解説した分圧回路が必要です。分圧回路の詳しい内容についてはこちらの記事に書いています。

 

 電圧の変化を取り出すとき、抵抗値が変わるならそのまま電圧でも測定すればいいのでは?と思いませんでしたか?そんな疑問には、こちらの記事で詳しく書いています。結論から言うと、電流値が測定できるなら分圧回路は不要ですが、電圧を見るなら分圧回路が間違いないです。

使用部品

  • CDSセル(5mmまたは7mmタイプ)
  • 抵抗(10kΩ程度)
  • 電源(5Vまたは3.3Vまたは乾電池)
  • マルチメータ(またはオシロスコープ)
  • ブレッドボードとジャンパーワイヤ

回路構成(分圧回路)

 この回路はよく見る分圧回路ですね。CdSセルの抵抗値が変化することで\(V_{OUT}\)の電圧が変化します。具体的な計算方法としては、CdSセルにかかる電圧を\(V_{OUT}\)とすると、それぞれの値を使って次のように表せませす。

$$V_{OUT}=V_{CC}\times\dfrac{R_t}{R_t+R}$$

  • 明るい → CDSの抵抗が小さくなり、Voutが低下
  • 暗い → CDSの抵抗が大きくなり、Voutが上昇

電圧をテスターで測定してみる。

 実際にCdSセルと固定抵抗、乾電池(今回は充電池を使用)を用意して、ブレッドボードで回路を組んでみました。この状態で電圧を測定してみました。

 CdSにあまり光が入らない状態だと、0.64Vとなりました。次に明るさだけ変更してみましょう。

 CdSセルに光が入るようにしてみるとどうでしょう。0.24V(245mV)となりました。これは、分圧の計算から説明できます。分圧の式をおさらいしましょう。

$$V_{OUT}=V_{CC}\times\dfrac{R_t}{R_t+R}$$

  • 明るい → CDSの抵抗が小さくなり、Voutが低下
  • 暗い → CDSの抵抗が大きくなり、Voutが上昇

 つまり、明るい状態だと0.24Vで、暗い状態だと0.64Vとなったので、計算通りということです。

CdSセルを使うときの、よくある質問とトラブルシューティング

Q. CDSセルの向きはありますか?

→ LEDのような部品だと、アノード・カソードと足が決まっていて、ただしく接続しないと光らないですよね。ただ、CdSにはこのような性質はありません。向きが決まっていることを、極性がある。と呼ぶのですが、CdSセルには極性がありません。ですから、どちらの向きでも使用可能です。

Q. 分圧回路に使う抵抗値はどれくらいが適切?

→ 10kΩ〜100kΩが一般的です。今回は10kΩの抵抗を使ってみました。実際には使用する電源電圧や目的に応じて調整してください。ただ実験的に電圧を確認するだけなら10kΩ程度でいいでしょう。

 分圧の計算方法はすでにお伝え済みですから、電源からどれくらいの電流を流したいのか?などご自分で計算してみると勉強になりますね。

Q. 電圧が安定しないのですが?

→ いくつか原因が考えられます。一番あり得るのが周囲の光が変化している場合です。CdSに遮光カバーを使うと安定します。

 また、あまりないと思いますが、接続方法にも注意が必要です。今回の通りに接続してもらえれば問題ないですが、例えば抵抗を使った分圧回路を組まず、電源とCdSセルのみを接続すると正しく動作しません。

 正しく動作しない理由は、すでに何度もお伝えしていますが、分圧回路が無いためです。分圧回路が無いと、正しくCdSセルを使うことはできません。※電流値を変化させる方法もありますが、今回は省略しています。

まとめ:CdSセルは、センサーを使う第一歩として最適

 CDSセルは、光の強さを電気信号に変換できるシンプルなセンサーです。センサーとして明るさに反応するのは日常生活でもかなり活用先があるのではないでしょうか?

 使い方も、分圧回路を使えば、マイコン不要での自動点灯回路なども構成可能です。もちろんマイコンボードなどで電圧を数値化し、その数値ごとに何かを制御することもできるため、複雑な制御の一部のトリガーとして使うことも可能です。

 CdSは電子工作の第一歩として、またセンサーの基礎理解として最適です。ぜひCdSセルを使った実験に挑戦してみてください。

今回のまとめ
  • CdSセルは、センサーの基礎理解に最適。
  • 単純な回路にも使えるだけでなく、複雑な制御の一部として使用することもできるほど活躍の場は広い。

 今回ご紹介したCdSセルは、Amazonやその他通販サイトでも購入可能です。値段も手ごろですので、ぜひ手に入れてみてください。