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【抵抗による分圧】2つの抵抗を使って必要な電圧を取り出す方法を注意点も含めて解説

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 今回も電子工作に使える基礎知識を解説していきます。最後まで読んでいってくださいね~

 これまでの記事で、「電圧」「電流」「抵抗」という電気の三つの基本的な性質と、その単位、そして「抵抗」がどんな役割を持つ部品なのかを学んできました。抵抗が単に電流を制限するだけでなく、回路の安全性と安定性に欠かせない「絶対に必要もの」であることも理解できたかと思います。

 今回は、その抵抗が持つ、もう一つの非常に重要な役割に焦点を当てていきます。それは、「分圧(ぶんあつ)」という技術です。その名の通り圧力を分散する役割です。

 例えば、5VのUSB電源しかないけれど、動かしたいセンサーは3Vでしか動かない、なんていう場面に遭遇したことはありませんか?そんなときに役立つのが、この「抵抗による分圧」のテクニックです。今回は、この便利な分圧の仕組みと、具体的な計算方法、そして注意点まで、詳しく解説していきます。

この記事を読むことでわかること

そもそも分圧とは何か?が理解でき、注意点を含めて使い方まで理解できる。

自己紹介

東証一部上場企業でサラリーマンしてます。

主に工場(生産現場)で使用する検査装置のアプリケーション開発してます。

ヒトの作業を自動化して簡略化するアプリケーションを日々開発中。

転職に成功して現在は超大手企業で電気・制御の開発をしています。

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1. 分圧って、そもそも何?

 まず、「分圧」という言葉の基本的な意味から理解していきましょう。

分圧とは、電圧を「分ける」こと

 「分圧」とは、その名の通り、圧力を分散させる仕組みです。圧力と言っているのはこの場合電圧を指します。
つまり、ある電圧を複数の抵抗を使って「分ける」ことを指します。元の電圧を、抵抗の比率に応じて分割し、特定の場所で必要な電圧を取り出す技術です。使うのは抵抗です。

 前回、抵抗は電気の流れを邪魔するだけでなく、「電圧を調整する(分圧)」という役割があると少し触れましたね。今回はその役割を深掘りします。

 例えるなら、一本の太い水道管に流れる水を、途中で二股に分けて、それぞれの枝で異なる水圧(電圧)を取り出すようなイメージです。元の水道管の水圧は変えられないけれど、途中のバルブ(抵抗)の開閉具合を変えることで、それぞれの枝に流れる水の勢いを調整できます。

大元の太い水道管の水圧は変化させることなく、分岐後の水道管の水圧を調整することができれば便利ですよね?

 電子回路では、抵抗が電気の流れを邪魔する際に、その抵抗の両端に「電圧降下(でんあつこうか)」という現象が起きます。この電圧降下を利用して、電圧を分割するのが分圧の仕組みです。

なぜ分圧が必要なの?

電子工作をしていると、手元にある電源の電圧と、動かしたい部品が必要とする電圧が一致しないことが頻繁にあります。

  • 例1:5Vの電源で3.3Vのセンサーを動かしたい
    • Arduinoなど多くのマイコンボードは5Vで動作しますが、最近のセンサーやモジュールには3.3Vで動作するものも増えています。想定された電圧以外で動かすと不具合が出ることもあります。
  • 例2:9V電池で5Vや3Vの回路を動かしたい
    • 角型の9V電池は手軽ですが、多くのICは5Vや3.3Vで動作します。
  • 例3:アナログ信号の範囲を調整したい
    • センサーが出力する電圧が広範囲すぎる場合に、マイコンのアナログ入力(通常0〜5Vなど)に合わせるために分圧することがあります。0~10Vで出力するセンサの場合、50%の出力で5Vになるため扱いにくいですよね。というか50%を超えると測定不能となってしまいます。

 上記は一例ですが、電圧を下げるための選択肢の一つとして、分圧回路が使われています。

2. 分圧回路の基本構成と仕組み

 分圧回路の基本構成と仕組みについて解説していきます。
分圧という名前がついてますが、実はたった2つの抵抗で構成されます。もちろん2つと言わず、3個でも4個でも抵抗をつなげることで分圧することも可能です。ただ、今回はわかりやすくするために2つに限定します。

回路の基本構成:2つの抵抗を直列につなぐ

 分圧回路は、2つの抵抗 (R1とR2) を直列に接続し、その抵抗の間に「出力したい電圧」を取り出すことで実現します。

分圧回路の例
分圧回路の例

 上記は分圧のイメージ図です。実際には回路図やブレッドボード図などを挿入すると分かりやすいでしょう。この回路では、電源電圧 \(V_{ IN }\) が2つの抵抗 \(R_1\) と \(R_2\) に分かれてかかります。

 取り出したい電圧 \(V_{OUT}\) は、\(R_2\) の両端から取り出すことになります。\(R_1\) と \(R_2\)の間と、GNDをテスターで測定すれば、\(R_2\)にかかる電圧がわかりますね。つまり\([V_{OUT}]=[R_2にかかっている電圧]\)というわけです。

仕組み:抵抗の比率で電圧が分かれる

 電気は、抵抗が大きいほど「頑張って」そこを通過しようとするため、抵抗にかかる電圧も大きくなります。つまり、直列につながった抵抗にかかる電圧は、それぞれの抵抗値の比率に応じて分割されるという性質があります。

 全体の電圧 \(V_{IN}\) が \(R_1\)と\(R_2\)に分かれてかかり、そのうち \(R_2\)にかかる電圧が\(V_{OUT}\) となるわけです。キルヒホッフの法則から、全体の電圧に対して合計の電圧は一致することがわかっていますから、\(R_1\)にかかる電圧と\(R_2\)にかかる電圧を足したものは\(V_{IN}\)と一致します。つまり、\(R_1\)ですでに電圧が落ちた状態の\(V_{OUT}\)を取り出している。ともいえるわけです。

 電気の例えは、水の流れで考えるとイメージしやすいです。

ある高さから流れ落ちる水が、途中に2つの水車(抵抗)を通るとします。一つ目の水車が小さく(抵抗が小さい)、二つ目の水車が大きい(抵抗が大きい)場合、二つ目の水車の方が多くの水の勢い(電圧)を使うことになります。この二つ目の水車を通った後の水の勢いが、私たちが取り出したい電圧、というイメージです。

3. 分圧回路の計算方法:オームの法則だけで導出可能

 分圧回路で目的の電圧を取り出すためには、オームの法則を使って適切な抵抗値を選定する必要があります。オームの法則が理解できていれば、実は簡単に分圧回路の計算が可能です。

 公式丸暗記に頼らない分圧回路の計算方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

 ただし、この記事では、抵抗値をあらかじめ決めた場合に、どんな電圧が得られるか?の計算をしています。今回は、欲しい電圧が決まっている状態で、どんな抵抗を選んだらいいか?を求める方法についてご紹介していきます。

分圧の公式

 一応念のため、分圧回路で \(V_{OUT}\) を求める式をおさらいしておきましょう。公式は、次のようになります。

$$V_{OUT}=V_{IN} \times \frac{R_2}{R_1+R_2}$$

 この公式は、全体の電圧 \(V_{IN}\) を、\(R_1\) と \(R_2\) の合計抵抗で割り、そのうち \(R_2\) の抵抗値が占める割合をかけることで、\(R_2\) にかかる電圧 \(V_{OUT}\) を求めている、ということを意味しています。

 なんでこうなるのか?については、この章の冒頭でもお伝えした通り、別の記事で詳しく解説しています。なんでこうなるのかが、ぱっと思い出せない場合は復習してみてください。

計算例で理解を深めよう!

 実際に計算してみましょう。この例題はよくある話ですね。5Vしか使えないマイコンボード用のモジュールを、3.3V駆動のマイコンボードでも使いたいときにこの計算が使えます。

例題:5Vの電源から3.3Vを取り出したい

  • \(V_{IN}\) = 5V
  • \(V_{OUT}\) = 3.3V
  • \(R_1\) と \(R_2\) を求める

 この場合、まず \(R_1\) と \(R_2\) の比率を決めることから始めます。公式を少し変形すると、\(\dfrac{R_2}{R_1+R_2}= \dfrac{V_{OUT}}{V_{IN}}\) となります。

 具体的な数値を入れると、\(\dfrac{3.3V}{5V}=0.66\)

 つまり、\(R_2\) が全体の抵抗の約66%を占めるようにすれば良いのです。では、具体的な抵抗値を選んでみましょう。いくつかの組み合わせが考えられますが、例えば、合計抵抗値をある程度決めてから逆算する方法があります。

もし \(R_1+R_2\) を \(10k\,\Omega\) と設定した場合、\(R_2=(R_1+R_2) \times 0.66=10k\, \Omega \times 0.66=6.6k\, \Omega\)

 \(R_1\)と\(R_2\)は足すと\(10k\,\Omega\)なので、\(R_2=10k\,\Omega−6.6k\,\Omega=3.4k\,\Omega\)

 計算で値が求まりましたが、\(6.6k\,\Omega\)や\(3.4k\,\Omega\)といったぴったりの抵抗値は市販されていないことが多いです。そこで、次にやることは手に入りやすい抵抗値の組み合わせを探すことです。

 手に入りやすいとは、抵抗にも一般的によく使われる抵抗値というものが存在します。E24系列と呼ばれる、主な抵抗値の許容誤差が±5%の抵抗がよく使われます。このE24系列は、その数字からもわかる通り、24種類の抵抗値が存在します。今回もE24系列に含まれる抵抗値を選んでみましょう。

 手に入りやすい抵抗値の例:

  • \(R_1\)=3.3\(k\,\Omega\)
  • \(R_2\)=6.8\(k\,\Omega\)

 この場合、\(V_{OUT}=5V\times\dfrac{6.8k\,\Omega}{3.3k\,\Omega+6.8k\,\Omega}=5V\times\dfrac{6.8}{10.1}\approx 5V\times 0.673=3.365V\)となり、3.3Vに近い値が得られます。

別の組み合わせ:

  • \(R_1\)=1\(k\,\Omega\)
  • \(R_2\)=2.2\(k\,\Omega\)

この場合だと、\(V_{OUT}=5V\times \dfrac{2.2k\,\Omega}{1k\,\Omega+2.2k\,\Omega}=5V\times\dfrac{2.2}{3.2}\approx 5V\times 0.6875=3.4375V\)

 このように、完全にぴったりの値でなくても、許容範囲内であれば問題ありません。

ポイントとしては、分圧で使う抵抗の合計値(\(R_1\)+\(R_2\))が小さすぎると、回路全体で多くの電流が消費されてしまいます。通常は数\(k\,\Omega\)から数十\(k\,\Omega\)の範囲で選びます。

4. 分圧回路を使う上での注意点と限界

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 分圧回路はシンプルで手軽ですが、いくつか注意点と限界があります。これらを理解しないまま使うと、意図した電圧が得られなかったり、回路が不安定になったりすることがあります。

注意点1:分圧回路は電流をあまり取り出せない

 これが分圧回路の最も重要な注意点です。分圧回路は、あくまで「電圧を分ける」ためのものであり、そこから多くの電流を取り出すことには向いていません

  • イメージ: 水道の減圧弁を想像してください。減圧弁は水圧を下げますが、そこから消防ホースのような大量の水を勢いよく取り出すことはできません。減圧された水は、せいぜい家庭の蛇口で使う程度の量です。
  • 回路への影響: 分圧回路から多くの電流を取り出そうとすると、出力電圧 \(V_{OUT}\) が大きく変動してしまい、安定した電圧が得られなくなります。これは、取り出そうとする電流が \(R_2\) を流れる電流に影響を与え、分圧比が崩れてしまうためです。

したがって、LEDを光らせる(数十\(mA\))程度の電流が必要な場合は、分圧回路ではなく、別途「三端子レギュレータ」や「DC-DCコンバータ」などの本格的な電源ICを使う必要があります。これらは、安定した電圧を供給し、より大きな電流も取り出すことができます。分圧回路は、主にごくわずかな電流しか流れないセンサーの信号入力などに利用されます。

注意点2:消費電力と発熱

分圧回路を構成する抵抗 \(R_1\) と \(R_2\) には、常に電流が流れています。そのため、それぞれの抵抗で電力が消費され、熱が発生します。特に、抵抗の合計値 (\(R_1\)+\(R_2\)) が小さすぎる場合(例えば、数百Ω以下など)は、流れる電流が大きくなり、抵抗の発熱量が増加します。

  • : 12\(V\)を分圧して6\(V\)を取り出すために、\(R_1=100\Omega\),\(R_2=100\Omega\) を使用した場合。
    • 回路全体の電流 \(I=\dfrac{V_{IN}}{R_1+R_2}=\dfrac{12V}{100\Omega+100\Omega}=\dfrac{12V}{200\Omega}=0.06A(=60mA)\)
    • 各抵抗の消費電力 \(P=I^2\times R=(0.06A)^2\times100\Omega=0.0036\times100=0.36W\)

 0.36Wの消費電力に対して、一般的な\(1/4W(=0.25W)\)抵抗では、この消費電力は大きすぎます。抵抗が非常に熱くなったり、最悪の場合壊れたりする可能性があります。この場合は、\(1/2W\)や1\(W\)などの許容電力の大きな抵抗を選択しなければいけません。

 したがって、分圧回路を設計する際は、使用する抵抗の消費電力を計算し、適切な許容電力の抵抗を選ぶことが重要です。

注意点3:電源電圧の変動に弱い

分圧回路は、入力電圧 \(V_{IN}\) が変動すると、それに比例して出力電圧 \(V_{OUT}\) も変動してしまいます。例えば、乾電池を電源にしている場合、電池の電圧は使用するにつれて徐々に低下していきます。すると、分圧回路から得られる出力電圧も、それに合わせて低下してしまうのです。

そのため、非常に安定した電圧が必要な精密な回路や、バッテリー駆動で電圧が変動するような用途には、分圧回路はあまり向いていません。

注意点4:効率が悪い

上記のように、分圧回路では抵抗に常に電流が流れ、熱として電力が消費されます。これは、必要な電圧を得るために無駄な電力を捨てていることになります。バッテリー駆動の機器など、電力効率が重視される場合には、分圧回路は不向きと言えます。

5. どんな時に分圧回路を使うの?具体的な応用例

分圧回路には上記のような限界がありますが、そのシンプルさと手軽さから、特定の状況では非常に便利な技術として活用されます。

応用例1:マイコンのアナログ入力にセンサーをつなぐ

これが、電子工作で分圧回路が最もよく使われる場面の一つです。多くのマイコン(Arduinoなど)のアナログ入力ピンは、特定の電圧範囲(例えば0V〜5V)でしか電圧を読み取ることができません。

  • 光センサー(CDSセル): CDSセルは明るさによって抵抗値が変化する部品です。これを固定抵抗と直列につなぎ、分圧回路を構成することで、明るさの変化を電圧の変化としてマイコンのアナログ入力で読み取ることができます。
  • 温度センサー(サーミスタ): サーミスタも温度によって抵抗値が変化します。これもCDSセルと同様に、固定抵抗と組み合わせて分圧回路を作り、温度変化を電圧変化として読み取ります。

このように、抵抗値が変化するセンサーと固定抵抗を組み合わせた分圧回路は、センサーの出力をアナログ電圧に変換する「インターフェース」として非常に有用です。センサーから取り出される電流は非常に微弱なため、分圧回路の「電流をあまり取り出せない」という弱点も問題になりません。

応用例2:高電圧を安全に測定する

テスターで高電圧を直接測定するのは危険が伴ったり、テスターの測定範囲を超えてしまったりすることがあります。そんな時にも分圧回路が役立ちます。

例えば、100Vの電圧を測りたいけれど、テスターのアナログ入力は5Vまでしか対応していないとします。この場合、100Vを適切な分圧比(例:1/20)で分圧し、5Vに下げてからテスターで測定することで、安全に、そしてテスターの測定範囲内で電圧を測ることができます。テスター自体も内部に分圧回路を内蔵しており、異なる測定レンジに対応しています。

応用例3:特定の基準電圧の生成(限られた用途)

ごくわずかな電流しか必要としない、ある特定の基準電圧が必要な場合に、分圧回路が一時的に使われることがあります。しかし、この場合も電源の安定性や効率を考えると、専用の基準電圧ICなどを使う方が一般的です。あくまで、手軽な実験や簡易的な回路での利用に限られます。

6. 分圧回路の限界を補う部品たち

分圧回路は手軽で便利ですが、その限界も理解しておくことが重要です。より安定した電圧や大きな電流が必要な場合は、以下のような部品を使います。

1. 三端子レギュレータ

LM7805
LM7805
  • 役割: 入力された電圧を、決められた一定の電圧に「安定させて」出力する部品です。例えば「LM7805」という三端子レギュレータは、入力された7V〜20V程度の電圧を、常に安定した5Vに変換して出力します。
  • 利点: 出力電圧が安定している。比較的大きな電流(数百mA〜1A程度)を取り出せる。
  • 欠点: 入力と出力の電圧差が大きいと、その差分が熱として捨てられるため効率が悪い(発熱する)。入力電圧が出力電圧より常に一定以上高くなければならない(最低動作電圧差がある)。
  • 用途: マイコンやLED、ICなど、安定した電圧で動作させたい部品の電源供給。

2. DC-DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)

LM2596-DC-DC-converter
LM2596-DC-DC-converter
  • 役割: 入力電圧を、効率よく目的の電圧に変換する部品です。昇圧(電圧を上げる)も降圧(電圧を下げる)も可能です。
  • 利点: 非常に電力変換効率が良い(発熱が少ない)。入力電圧が出力電圧より低くても(昇圧)、高くても(降圧)対応できる。
  • 欠点: 三端子レギュレータに比べて回路が複雑で、価格も高め。ノイズが発生することがある。
  • 用途: バッテリー駆動の機器(電力効率が重要)、複雑な多電源回路、昇圧が必要な回路など。

 分圧回路は「手軽に電圧を分ける」ためのもの、三端子レギュレータは「安定した電圧を供給する」ためのもの、DC-DCコンバータは「効率よく電圧を変換する」ためのもの、と使い分けを覚えておきましょう。それぞれにメリットデメリットがありますので、必ずどれを使う、というのはありません。

まとめ:分圧は「おすそ分け」の基本技!

今回の記事では、2つの抵抗を使った「分圧(ぶんあつ)」という技術について、その仕組みから計算方法、そして重要な注意点と応用例まで、詳しく解説しました。

今回のまとめ
  • 分圧とは: 電源電圧を抵抗の比率に応じて分割し、必要な電圧を取り出す技術。
  • 分圧の公式: \(V_{OUT}\)=\(V_{IN}\)timesfrac\(R_2\)\(R_1\)+\(R_2\)
  • 注意点:
    • 電流をあまり取り出せない(負荷を接続すると電圧が変動しやすい)。
    • 抵抗で電力が消費され、発熱や効率の低下が起こる。
    • 入力電圧の変動に弱い。
  • 主な応用例: センサーのアナログ入力変換、高電圧の安全な測定など、ごくわずかな電流しか流れない信号処理。

分圧回路は、そのシンプルさゆえに「とりあえず電圧を下げたい」というときに便利な方法ですが、その限界も理解しておくことが、安全で安定した回路を作る上で非常に重要です。

もし、分圧回路を使っていて「どうも電圧が安定しないな」「抵抗が熱くなるな」と感じたら、それは分圧回路の限界を超えているサインかもしれません。その場合は、三端子レギュレータやDC-DCコンバータといった、より専門的な電源回路の導入を検討してみてください。

この分圧の技術をマスターすれば、電子回路を読み解く力がまた一つレベルアップしたことになります。次回は、電気を「貯める」ことができる魔法の部品「コンデンサ」について学んでいきましょう。お楽しみに!